事件を最初に受けた場所
この事件を最初にご依頼いただいたとき、ご依頼者は既に一度の挫折を経ておられました。ご自身の配偶者の不倫を直感されていましたが、手元に明白な証拠が不足していました。決定的な写真が一枚あるわけでもなく、ホテル出入りの映像があるわけでもありませんでした。「この状態では難しい」という回答を他所で受けておられた状態でした。私はその場でご依頼者の陳述と情況資料を改めて整理し、相手方の陳述が崩れる地点が明確にあると判断しました。本記事はその事件を1審・控訴審ともにご依頼者側勝訴に導いた流れを、一般法律情報の形で整理したものです。
明確な証拠が不足する事件ほど、陳述の一貫性が結果を分けます
不倫訴訟でご依頼者側が最も頻繁に受ける質問が「決定的証拠」の有無です。しかし通常の実務で決定的証拠一枚で終わる事件は多くありません。ほとんどは次のような情況資料の組み合わせで事実関係が再構成されます。
- 時期別に一致する位置情報(車両ドライブレコーダー・ハイパス・交通カード履歴)
- カード・口座の動線と金額パターン
- メッセンジャー・SNS活動の時間分布
- ご配偶者の普段の動線と食い違う時点
- 相手方がご家族・知人にした陳述とその時点
これらの資料を時間軸で整然と整列しておくと、相手方が法廷で一貫した陳述を維持することが非常に難しくなります。本件も同じ流れで進行しました。
相手方陳述の小さな隙間を辿った流れ
本件で相手方は当初関係自体を強く否定しました。しかし時点別に整理した事実関係を提示すると、陳述が段階的に変わり始めました。「知らない人」から「知ってはいた」へ、再び「単なる親交」から「一回限り」へ表現が移っていきました。通常このような段階的後退は法廷で陳述の信用性に決定的な瑕疵を残します。
虚偽陳述は最初に一度に崩れません。事実関係一行を更新するたびに一つずつ揺れ、その累積が判決文の中に入ります。
本件の1審裁判部は慰謝料2,500万ウォンを認めながら次の趣旨で判断しました。不貞行為は婚姻の本質を侵害する不法行為であり、被告の態度もまた真の反省と見難いということでした。
控訴審でも同じ結論で整理された理由
相手方は「証拠が不足する」という理由を挙げて控訴しました。しかし控訴審もまた1審の判断を正当と見て控訴を全部棄却しました。通常控訴審で1審の結論がそのまま維持される事件は、1審段階で事実関係の骨格が堅固に編まれたという意味でもあります。ご依頼者側が新たな決定的証拠を提出しなくても1審の流れが維持される事件は、初めから情況の整列がよく整っていたという信号です。
本件で1審・控訴審ともに認められた慰謝料算定要素
判決文に直接摘示されているか、通常認められる慰謝料算定要素は次のように整理できます。
| 要素 | 内容 |
|---|---|
| 不貞行為の違法性 | 婚姻共同生活の本質を侵害 |
| 関係の期間・外観 | 時点別情況資料の累積 |
| 精神的苦痛 | ご依頼者が家庭の中で受けた衝撃 |
| 反省の程度 | 陳述変更・態度など追加的加害可否 |
慰謝料金額自体は事実関係と証拠により事件ごとに大きく異なります。本件の2,500万ウォンは結果自体よりも、「明確な証拠が不足する」という診断を受けて来られたご依頼者から両審級ともに認められたという点で意味があると見ています。
一人称で整理してみた本件の教訓
私はご依頼者が最初にお持ちになった資料を見たとき、決定的な一枚がない点では他所の評価と同じ診断をしました。ただし資料の「量」ではなく「整列の方法」を異なる視点で見ました。時点・場所・金額のパターンを組み直して見ると、相手方が崩れずに済まない時点が事件の中に明確にありました。その時点を核心質問にしておくことが弁護人の役割だと考えています。
よい事件はよい証拠から始まるのではありません。よい事件は散らばっている事実を新しい順序で整列することから始まります。
同じ結果のための一般的点検事項
証拠が不足するとお感じになる段階で、ご依頼者ご自身が点検しておけるご項目を整理しておきます。
- ご配偶者の1週間の動線を時間軸で書いておく(出退勤・外出時間)
- カード使用履歴・口座送金履歴を月単位で1ページに広げておく
- ご配偶者がご家族・知人にした陳述を整理しておく(日付・発言要旨)
- ご自身の携帯電話に残っている写真・動画のメタデータをそのまま保存
- ご自身が認知した「おかしい時点」を書面にしておく(記憶は時間が経つと薄れます)
これらの資料が十分か否かは、結局その資料をどう整列するかによって評価が異なります。今すぐチャットで相談するで、ご自身がお持ちの資料の整列方向から点検していただけます。
よく受けるご質問
Q. 他所で「決定的証拠がない」と言われました。そのまま諦めるべきですか。 A. 決定的証拠の不存在がそのまま訴訟不能を意味しないというのが通常の流れです。情況資料の時間軸整列、相手方陳述変化の累積、客観的位置情報などが結合すれば事実関係が再構成される事件は少なくありません。事実関係と証拠により結果が異なるため、個別点検が必要です。
Q. 相手方が「単なる親交」とだけ主張します。どう反論しますか。 A. 通常は時点別動線・金額・連絡頻度の累積で「単なる親交」主張の説得力を落とします。単一資料よりもパターンの累積がより強い信号として作用する場合が多いです。
Q. 控訴審で結果がひっくり返る可能性は大きいですか。 A. 1審事実関係が堅固に編まれているほど控訴審で結論が維持される傾向が通常観察されます。新たな証拠なしに1審判断を揺るがすのは難しい流れです。ただし事件ごとに差があるため控訴審段階でも別途点検が必要です。
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本記事は、法務法人ジョンジェのシン・ミジン弁護士による上記YouTube解説をもとに作成された一般法律情報記事です。
検討弁護士:シン・ミジン弁護士 / 最終レビュー日:2026-05-30
免責:本記事は一般的な法律情報の提供を目的とし、個別事案の具体的事実関係に対する法律相談ではありません。類似事案でも結果は事実関係と証拠により異なり得るため、実際の紛争や相談が必要な方は必ず弁護士の個別相談を受けてください。



