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10年共に暮らしても相続は0円、事実婚が見落としている場所

10年共に暮らしても相続は0円、事実婚が見落としている場所
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10年共に暮らしても相続は0円、事実婚が見落としている場所

初回公開 2026-05-30 / 最終確認 2026-05-30 本稿は法務法人ジョンジェのユン・ジサン弁護士の上記YouTube解説をもとに作成された一般的な法律情報です。

10年共に暮らした事実婚の配偶者が亡くなった後、葬儀を済ませ死亡届を出しに行ってはじめてご自身に何の法的権利もないという事実をお知りになる相談が時々あります。事実婚は別れる際の財産分与は法律婚と類似に保護されますが、相続では一銭も受け取れません。本稿は事実婚と法律婚・同居の違い、財産分与と相続の保護範囲、そして重婚的事実婚の限界まで整理しつつ、事実婚の関係にいらっしゃる方が予め整理しておかれるべき部分を見ていきます。

事実婚とは一体何か

判例は事実婚成立の要件を二つに整理します。

  • 主観的要件:当事者間に婚姻意思の合致があること。
  • 客観的要件:夫婦共同生活と認められる婚姻関係の実体があること。

最も代表的な事実婚は結婚式を挙げて共に暮らしているが婚姻届だけしていない形態です。それ以外にも二人の間の呼称がどうであるか、家族・友人が二人を夫婦として認識しているか、経済的に結合しているか、共に同居して生活しているか等、様々な事情を総合して判断します。

事実婚・法律婚・同居を一表に

区分婚姻意思夫婦共同生活の実体婚姻届
法律婚ありありあり
事実婚ありありなし
同居なし、またはあっても実体不足弱いなし

相談室で見ていると、ご自身が事実婚だと思って来られるが客観的要件が不足し同居に近い場合、逆にご自身は単純同居と認識しているが実体上事実婚と評価されるような場合がいずれもあります。この判断の結果により財産分与の可否自体が分かれるため、事実関係整理が最初のボタンです。

事実婚が別れる際、財産分与は受け取れるか

受け取れます。事実婚が認められれば別れる際の財産分与は法律婚が離婚する際と同一に処理されます。事実婚関係の一方が事実婚を破棄した場合、相手方は財産分与を請求でき、慰謝料請求も可能な場合があります。

私は裁判所に勤務していた頃、次のような事件を担当したことがあります。50代女性がワンルーム建物を保有する資産家で、60代男性と約10年間同居しました。女性は男性とは単純同居だったと主張し、男性は事実婚と主張しました。裁判部は事実関係を総合評価し事実婚と認定し、男性は数億ウォン台の財産分与を受けました。

この事件が示すのは、事実婚と認定されることだけで結果が大きく変わるという点です。

事実婚が死亡で別れる場合、相続は

相続では異なります。事実婚配偶者には相続権がありません。憲法裁判所も最近この部分について合憲決定を出しました。

したがって事実婚配偶者が死亡すれば、その配偶者名義になっていた全ての財産はその配偶者の相続人(子・兄弟姉妹等)に相続されます。事実婚配偶者が共に貯めた金をその名義で登記しておいた家であっても、登記上の名義人が死亡すればその家は相続人のものになります。

相談室で見ていて、最も心痛む事案がこの流れです。10年以上事実上夫婦として過ごされた方が、葬儀まで済ませた後死亡届を出しに行かれてはじめてご自身が法的に家族でないことをお知りになります。その時点でご相談に来られると、事実上できることが非常に限られます。

事実婚配偶者が保護を受けられる場所もあります

事実婚配偶者が全ての法的保護から排除されるわけではありません。例外的に次のような権利が認められます。

  • 住宅賃貸借保護法上の賃借人地位承継:一定の要件下に被相続人の賃借人地位を引き継げます。
  • 産業災害補償保護法・国民年金法・公務員年金法等の遺族年金:事実婚配偶者も遺族と認められ年金を受け取れる場合があります。
  • 労働基準法上の遺族補償:一定の要件下に認められます。
  • 民法上特別縁故者分与:死亡した事実婚配偶者に相続人が全くいない場合に限り、特別縁故者として一部財産に対する分与を請求できる可能性があります。

ただしこれらの保護は非常に例外的に認められるもので、最も重要な資産である不動産・預金等の本体に対する相続権は認められないという点は変わりません。

事実婚が予め整理しておくべき三つ

事実婚関係にあり、いずれか一方の突然の不在を念頭に置く必要があれば、事前に整理しておかれる選択肢があります。

  • 生前贈与:ご存命のうちに事実婚配偶者名義に財産の一部を移しておく方式です。贈与税負担を併せて検討する必要があります。
  • 遺言(遺言公正・遺言状):死亡後事実婚配偶者に財産の一部を移転する方式です。遺留分請求可能性を併せて検討する必要があります。
  • 遺言代用信託:生前に権利行使構造を整理しつつ事後の移転まで併せて設計できる方式です。事実婚事案で活用度が大きい領域です。
  • 借用証・公正証書:二人の間で資金がやり取りされていれば、その流れを債権債務関係で整理しておく方式です。ただし家族間の資金移転と同様に形式の整合性を備える必要があります。

私は事実婚事案で依頼者にお会いすると、まず二つをお尋ねします。第一に、不動産名義が誰になっているか。第二に、相続人側ご家族との関係がどうであるか。この二つが今後のシナリオの出発点になります。

重婚的事実婚は保護されません

事実婚は法律上幅広く保護されますが、重婚的事実婚は保護されません。重婚的事実婚とは既に法律上配偶者がいる人が他の人と事実婚関係を結ぶ場合です。

この形態は既に法律上厳然と配偶者がいる状態のため、事実婚としての法的保護を受けられません。財産分与請求も、慰謝料請求も困難です。著名な財界人とそのパートナーの関係がよく取り上げられる理由がここにあります。その方の配偶者との離婚が確定していない時点ではその関係が重婚的事実婚と評価されるためです。

事実婚整理の流れを一表に

状況事実婚認定時の結果
一方の破棄で別れる財産分与請求可能、慰謝料請求可能
死亡で別れる相続権なし。遺族年金・賃借承継等の例外的保護のみ可能
重婚的事実婚慰謝料・財産分与請求困難

よくいただくご質問

Q. 共に暮らして10年以上経ち、その間貯めたお金で家を事実婚配偶者名義で買っておきました。ご自身が亡くなったらどうなりますか? A. 登記名義人が死亡すればその家はその名義人の相続人に相続されます。事実婚配偶者に相続権がないため、ご自身が出された資金が多くても、それだけで権利を主張するのは非常に困難です。生前に贈与・遺言・信託等を通じた事前整理が必要です。

Q. 事実婚配偶者が亡くなり相続人たちが家から出ていけと言います。どうすればよいですか? A. 切ないお話です。直接的な相続権を主張することはできません。ただし住宅賃貸借保護法上の賃借人地位承継要件が充足されるか、二人の間で債権債務関係として整理された資料があるか、特別縁故者分与請求の要件になるか等を多角度で検討する必要があります。

Q. 結婚式だけして婚姻届はまだしていません。この状態で別れたら財産分与はできますか? A. 事実婚と評価される可能性が高いです。そうであれば法律婚の離婚と同一の基準で財産分与を受け取れます。ただし事実婚認定自体が事実関係評価の結果ですので、ご自身の事案の状況も併せて整理する必要があります。

ご自身の事案にどう適用するか

ご自身が事実婚関係にいらっしゃるなら、次の順序で点検されたほうが安全です。

  • 不動産名義が誰になっているか、名義人死亡時の相続人構図はどうであるか。
  • 突然の不在に備えた事前整理(贈与・遺言・信託)がされているか。
  • 二人の間でやり取りされた資金の性格が債権債務として整理されているか、単純な資金合算で散らばっているか。
  • 現在の関係が重婚的事実婚に該当する可能性はないか。

ご自身のご家庭の事実婚整理構造を短く一度点検されたい場合は今すぐチャットで相談するも可能です。


ユン・ジサン弁護士 / 法務法人ジョンジェ 家事・相続専門弁護人団 最終確認 2026-05-30

本稿は一般的な法律情報であり、個別案件の法律相談を代替するものではありません。事案により結果が異なり得ますので、具体的な紛争がある場合は別途のご相談をお勧めします。