自手成家型と相続型の財閥、離婚の財産分与はなぜここまで結果が変わるのか
初回公開 2026-05-30 / 最終レビュー 2026-05-30 本記事は法務法人ジョンジェのユン・ジサン代表弁護士による上記YouTube解説に基づく一般的な法律情報です。
財閥や高額資産家の離婚財産分与が社会的話題となるたび、最も多く頂くご質問が「裁判所が富裕層に有利な結論を下しているのではないか」というものです。結論から申し上げると、資産規模によって適用される法理が変わるわけではありません。しかし同じ法理を適用した際に、結果のニュアンスを変える核心的な変数が確かに存在します。本記事では、自手成家型と相続型という二類型の事例を比較しつつ、一般的な離婚事件でも同様に作動する固有財産法理の核心を整理します。
一般離婚事件における財産分与の基本原則
本格的な比較に入る前に、一般離婚事件の出発線を整理しておきます。婚姻中に夫婦が形成した財産は通常、夫婦共同財産と評価され、特別な事情がなければ比率は5対5に近い水準で落ち着く傾向です。
ただしこの原則には、次のような例外が併存して作動します。
- 固有財産の概念: 親からの相続または贈与によって形成された財産は、原則として固有財産であり、分与対象ではありません。
- 3年経過後の分与対象編入の傾向: ただし婚姻期間が3年を超えると、固有財産であっても他方配偶者の維持・増殖への寄与があると見て、分与対象に編入する流れが定着しています。
- 比率調整で固有財産性を反映する実務: 分与対象には含めつつ、その財産が固有財産であるという点は分与比率の算定段階で反映する方式です。
この原則が自手成家型と相続型でどのように異なって作動するかを比較していきます。
自手成家型: 夫婦共通の努力が築いた財産
自手成家型夫婦の代表的事例として挙げられる人物には、NCソフトのキム・テクジン社長夫婦、アマゾンのジェフ・ベゾス夫婦、現在家庭裁判所で係属中のスマイルゲートのクォン・ヒョクビン会長夫婦などがあります。
この類型の特徴は次のように整理されます。
- 夫婦財産の大部分が、相続や贈与ではなく婚姻後に本人の努力で形成された財産です。
- その財産が会社株式の形態で存在する場合が多いですが、会社株式であるという事実自体が財産分与対象から除外される事由にはなりません。
- したがって出発点は5対5に近い分与が原則です。
ただし夫婦財産が一般的な範疇を大きく超える規模に達した場合、一個人の卓越した能力がその財産形成に決定的に寄与した点を考慮し、一般事件と同じく5対5に単純化するのが難しい場合があります。5対5を出発点としつつ、本人の卓越した能力を比率調整で反映する流れが一般的です。
自手成家型では結局、分与対象範囲そのものよりも分与比率をどう調整するかが結果の幅を左右します。固有財産をめぐる争いは相対的に少ないです。
会社株式の分与可能性についても一言整理しておきます。会社株式が分与対象になると経営権に影響を及ぼしうるという懸念が示されることがありますが、私個人としては、離婚事件の本質は夫婦財産の分与であって会社支配構造の安定保障ではないという立場に近いです。分与結果による経営上のリスクは、当事者と会社の別途管理領域に近いと考えます。
相続型: 固有財産性が最大の争点
相続型夫婦の代表的事例として、イ・ブジン ホテル新羅社長夫婦、チョ・ヒョナ元大韓航空副社長夫婦などがあります。ノ・ソヨン・チェ・テウォン事件は、自手成家と相続が混在した事案に近いです。
この類型の特徴は次の通りです。
- 夫婦財産の大部分が、親の相続または贈与によって形成された固有財産です。
- したがって最大の争点は分与比率ではなく、固有財産を分与対象に含めるか否かです。
- 一般事件では3年経過時に分与対象へ編入する流れが定着していますが、相続型の高額資産家事件では分与対象から除外される結論が少なくありません。
イ・ブジン社長事件で分与対象から除外されたサムスン関連株式は、その株式自体が相続・贈与の特殊性を経て価値が飛躍的に増加した資産でした。チョ・ヒョナ元副社長事件でも、大韓航空関連株式の相当部分が固有財産と評価されたと伝えられています。ノ・ソヨン・チェ・テウォン事件の一審も、SK関連株式全体を固有財産と見て分与対象から除外していました。
同じ法理、異なる結果: 何が結果を分かつか
相談室でよくお伺いするご質問が、なぜ一般事件では3年が経過すれば固有財産が分与対象に入るのに、高額資産家事件ではそうならないのか、というものです。次のようにご説明しています。
法理の核心は、配偶者がその財産の維持・増殖にどの程度寄与したかです。通常の夫婦であれば、3年以上の婚姻期間その財産が維持されてきたという事実自体が一定水準の寄与と評価され、分与対象に含まれます。
ところが資産規模が非常に大きい事件では、次の二つが同時に作動します。
- 分与比率の下限の問題: 通常、分与比率は少なくとも5%から10%以上の単位で算定されます。1%対99%のような微細調整は実務上ほとんどありません。
- 寄与度と結果金額の衡平性の問題: 10%比率だけを認めても、分与対象母数が数兆ウォン単位になれば、分与金額は数千億ウォンに達します。その金額が配偶者の寄与によって形成された資産だと評価しがたい場合、裁判部は結局固有財産と見て分与対象から除外する結論を選ぶこともあります。
結果として、同じ法理が作動するとしても、資産規模が生み出す結果金額の幅のために結論のニュアンスが変わるのです。裁判所が富裕層に有利な物差しを当てているからではなく、衡平と公平というもう一つの基準が併せて作動するからです。
一般離婚事件の当事者にも共通するメッセージ
この比較は一般離婚事件にも同じメッセージを与えます。
- 固有財産だからといって自動的に分与対象から除外されるわけではありません。 婚姻期間、維持・増殖への寄与、資産の性格が併せて評価されます。
- 逆に夫婦共同財産だからといって自動的に5対5になるわけでもありません。 形成経緯、本人の卓越した寄与の程度が比率算定に反映されます。
- 資産が会社株式の形態であるという事実自体が分与可能性を下げるわけではありません。 不動産や預金と同じく分与対象として評価されます。ただし非上場株式は価値評価そのものが別領域であり、評価方式をめぐる争いが結果を大きく左右します。
よくお寄せいただくご質問
Q. 自手成家型事件でも、本人の財産がすべて5対5で分与されますか。 A. 通常出発点は5対5に近いですが、本人の卓越した能力が資産形成に決定的であった場合は比率が調整されます。
Q. 相続を受けた株式は必ず分与対象から外れますか。 A. そうとは限りません。通常の夫婦関係では、婚姻期間が3年を超えると分与対象に編入される流れです。ただし資産規模と事案の特殊性によって結論が変わることがあります。
Q. 非上場会社株式が分与対象である場合、価値はどう評価しますか。 A. 多様な評価方式が存在し、評価方式によって結果金額が大きく変わります。評価方式自体が紛争の重要軸ですから、評価への理解を備えた専門弁護人のサポートが結果を左右します。
資産規模と無関係に同じ原則が作動します
相談室では「私たちは財閥家ではないけれど、親から受け取った資産が紛争の中心にある」というご相談が最も多いです。自手成家型と相続型の比較が一般離婚事件の当事者にとっても意味を持つのは、結局同じ法理が作動するからです。資産規模が結果の幅を広げるに過ぎません。
ご自身の事案の財産分与構造がどう整理されうるか、いますぐチャットで相談するで短時間ご相談いただくこともできます。
ユン・ジサン代表弁護士 / 法務法人ジョンジェ 部長判事出身 家事・相続専門弁護人団 最終レビュー 2026-05-30
本記事は一般的な法律情報であり、個別案件に対する法律相談を代替するものではありません。事案により結果は変わり得ますので、具体的な紛争がある場合は別途のご相談をお勧めします。



