令状が発付されたとの報道を見た直後に思い浮かんだ一つのこと
2024年5月、歌手キム・ホジュン氏に対する勾留令状が発付されたとの報道を目にしたとき、部長判事として令状事件を扱っていた時期の視点が自然と思い浮かびました。本件自体は通常、勾留令状が直ちに発付される事案ではありませんでした。それにもかかわらず結果が勾留へと向かった理由は、事件外部から見た流れと事件内部から見た流れが段階ごとに食い違ったためです。本稿では令状制度の一般的構造と勾留令状発付の基準を整理した上で、本件が段階ごとにどのように食い違ったかを学術的視点から整理いたします。
憲法が定める身体の自由と令状主義
憲法第12条は身体の自由と令状主義を定めております。何人も法律に拠らずに逮捕・勾留・押収・捜索を受けず、令状は検事の申請により裁判官が発付しなければなりません。憲法第12条第4項は弁護人の助力を受ける権利、第5項は勾留適否審査を請求できる権利を定めております。
令状主義は自由の最後の砦です。身体拘束が人の人生に及ぼす重みは非常に大きいため、令状の申請・発付の両段階に手続的安全装置が手厚く設けられています。
三種類の令状
| 種類 | 役割 | 時点 |
|---|---|---|
| 逮捕令状 | 身柄確保が困難な被疑者に対する一次的身柄確保 | 出席拒否・所在不明段階 |
| 押収捜索令状 | 携帯電話・口座・コンピュータ等物件に対する強制処分 | 捜査資料確保段階 |
| 勾留令状 | 身柄の継続的拘束 | 捜査・裁判の進行保障段階 |
逮捕令状は48時間以内に勾留令状が発付されなければ釈放しなければなりません。押収捜索令状は緊急の場合・現行犯逮捕の場合は令状なしでも可能ですが、48時間以内に事後令状が発付されなければなりません。
勾留令状の発付段階、通常三段階
判事が勾留令状の発付の可否を判断する際は、通常以下の三段階の審理が行われると整理できます。
- 犯罪嫌疑の相当性の疎明: 犯罪があると見え、被疑者がその犯罪と関連していると見えるか
- 勾留事由の存否: 住居不定・証拠隠滅のおそれ・逃亡のおそれがあるか
- 勾留の必要性: 1・2段階がいずれも認められても、勾留が必ず必要な事案か
これに加え通常、以下の事情も併せて考慮されます。
- 犯罪の重大性と社会的法感情
- 再犯の危険性
- 被害者・重要参考人に対する加害のおそれ
- 必要的保釈除外事由に該当するか否か
本件が本来、勾留発付が困難であった理由
本件は飲酒運転とひき逃げが結合した事案ですが、通常の量刑の流れでは次の位置にあります。
- 単純飲酒運転: 1回目罰金刑、2回目執行猶予の流れが通常
- 飲酒運転後の逃走(ひき逃げ): 事案の結果により異なるが、人が死亡していない通常の事案では即時勾留に至る場合は多くない
- 特定犯罪加重処罰法上の逃走致傷罪: 死亡事故でない場合、量刑の流れがより軽い
したがって本件自体は本来、勾留令状が直ちに発付される事案ではないというのが、部長判事として事件を扱っていた視点から見た一般的な評価です。
段階ごとに食い違った流れ
本件で勾留へ向かった流れを段階ごとに整理すると次のとおりです。
第1段階: 事故直後の逃走
事故直後に車両を停止させずそのまま離れた流れです。この段階で車両を停止し、被害者確認・連絡先交換・保険会社への通報・必要に応じて警察への通報を行われていたなら、その後の段階の重みは通常大きく変わった可能性があります。
第2段階: マネージャーの自首試みとドライブレコーダーメモリの毀損
マネージャーが本人が運転したという趣旨で自首を試みた流れ、ドライブレコーダーのメモリが消失した流れがあわせて報じられています。これらの行為は通常、証拠隠滅・犯人隠避・偽計公務執行妨害など別途の刑事問題へとつながります。そして、捜査機関の立場では勾留令状請求の名分となる決定的事情でございます。
第3段階: 出席調査での否認
出席調査段階で飲酒運転の事実自体を否認する流れが報じられています。しかしCCTV・ドライブレコーダー・動線資料が通常非常に幅広く確保される本邦の環境において、客観的資料と真正面から食い違う否認は、捜査機関の「本件は最後まで突き詰めてみよう」という決断を呼ぶ傾向が通常観察されます。
第4段階: 令状実質審査期日変更申請
この段階は令状担当判事の立場からもっとも重い信号です。令状が請求された時点でご本人にとってもっとも重要な手続はその令状実質審査です。その手続の期日をコンサートなど他の予定のために変更して欲しいと申請する流れは、判事の立場から「本件の重みがご本人に十分認識されているか」への疑念を高める信号として作用いたします。
令状段階の意思疎通は、事件の内容よりもその意思疎通のトーンが結果を左右する場合が通常少なくありません。
部長判事として令状を扱っていた視点から見た一つの一般原則
捜査機関の裁量は非常に広いです。どこまで捜査するか、どのような方式で起訴するか、令状を申請するか、後に求刑をどのようにするかの決定がいずれも捜査機関の決定の内にあります。したがって通常、次の原則をお勧めいたします。
- ご本人の事件で100%無罪・正当だという確信のある部分でなければ、捜査初期段階から積極的に協力する流れを選ばれること
- 捜査機関と敵対的関係で事件を引っ張っていかれないこと
- 弁護人の助力のもと捜査機関に対する意思表示を整えられること
この原則はご自身の権利を放棄せよという意味ではありません。ご自身の権利をもっとも効果的に守る通常の流れだという意味でございます。
もし同じ事件を最初から扱うなら
私は部長判事として事件を見ていた視点と、刑事弁護人として事件を扱う視点を併せ持っております。もしこの事案を事故直後の段階でご依頼いただいていたなら、通常、次のような流れをお勧めしていた可能性が高いです。
- 事故直後ただちに車両停止、被害者確認、警察への通報
- 保険会社・所属社・弁護人への同時連絡
- 被害者との示談試み
- 出席前に弁護人助力のもと供述準備
- 飲酒事実の認め、逃走事実の認め、自首形式での出席
この流れが進められていたなら、通常、勾留令状請求段階まで進まなかった、あるいは請求されたとしても発付されなかった可能性が通常少なくありません。
刑事弁護人がなぜ決定的か
本件が示すメッセージを一般化すると次のとおりです。刑事事件においてご本人の結果は、事件自体の重みよりも事件直後の流れによってより大きく左右される場合が通常多いです。刑事弁護人の役割はご本人に代わって申し上げるというよりは、ご本人がどのようなトーンで、どの段階で、どのような意思表示をされるかを設計してさしあげる作業に近いものです。
刑事事件で結果を分けるもっとも大きな変数は、ご本人が事件直後にどのような流れを選ばれるかでございます。
ご本人またはご家族が刑事事件の入口に立っていらっしゃるなら、事件自体の重みを確認する前に、ご本人がどの段階でどのような意思表示をされるかから整理してみる流れをお勧めいたします。今すぐチャットで相談するでご本人の事案の段階別の流れをご点検いただけます。
よくいただくご質問
Q. 飲酒運転事故が発生した直後にもっとも優先すべき行動は何でしょうか。 A. 通常は車両停止、被害者確認、保険会社・警察への通報が先です。逃走時、事件の重みが通常大きく増す傾向があります。
Q. 令状実質審査段階で弁護人の役割はどこまでなのでしょうか。 A. 通常、勾留事由と必要性に関する争い、ご本人の事情と事後保障方策の疎明、被害者との示談進行状況の整理などが核心です。事件ごとにもっとも効果的な争いの軸は異なります。
Q. ご本人に自首の意思があるとき、なぜ弁護人の助力が必要なのでしょうか。 A. 自首自体がご本人に有利に作用するためには、その自首の時点・表現・資料提出範囲が併せて設計される必要があります。通常は弁護人の助力のもとでその設計が行われる流れをお勧めいたします。
ご本人の事案がどの段階にあるか、そしてどの段階がもっとも急がれるかから整理されたいなら今すぐチャットで相談するからお申し込みいただけます。
本稿は法務法人ジョンジェ ユン・ジサン弁護士の上記YouTube解説をもとに作成した一般法律情報記事です。
検証弁護士: ユン・ジサン弁護士 · 最終検証日: 2026-05-30
免責: 本稿は一般的な法律情報を提供するためのものであり、個別事件の具体的な事実関係に対する法律相談ではありません。類似の事案であっても結果は事実関係と証拠により異なり得るため、実際の紛争や相談が必要な方は必ず専門弁護士の個別相談を受けられますようお願い申し上げます。


