再び廃案となった「ク・ハラ法」— 養育義務を尽くさなかった実親の相続権を改めて問う
初版公開 2026-05-30 / 最終検討 2026-05-30 本稿は法務法人ジョンジェ(存在)のノ・ジョンオン代表弁護士による上記YouTube解説をもとに作成された一般法律情報の記事です。
第20代、第21代国会に続き、今回の国会でも「ク・ハラ法」が通過せずに廃案となったというお知らせをお伝えすることになりました。与野党が共感し、国民の多数が同意する法案であるにもかかわらず、もう一度政争の結果に巻き込まれ、次期国会の課題へと持ち越されました。本稿は、ク・ハラ法がどのような法案なのか、なぜ毎回最終段階で頓挫するのか、そしてこの法律が通過すれば私たちの社会のどのような隙間が整えられ得るのかを整理します。
ク・ハラ法とはどのような法案ですか
ク・ハラ法は、養育義務を尽くさなかった実親の相続権を制限することを主な内容とする民法改正案の通称です。中核は次のように整理されます。
- 実親が子を事実上養育しなかった事情が認められる場合、その実親の相続権を制限・喪失させ得る制度を導入します。
- 家庭の絆を壊した実親が、子の死後に単に法定相続人であるという理由だけで相続財産を取得していく流れを整えます。
この法案は、故ク・ハラさんの事例を通じて、社会がもう一度「家族」の意味を問い直す契機となったことから名前がついています。子の成長過程で不在だった実親が、子の死後に相続人として登場する流れが、社会一般の正義感情と乖離するという認識が積み重なった結果です。
ク・ハラ法は単なる相続規定の改正ではありません。社会が「家族」という言葉にどれだけの重みを与えるのかについての合意を問う法律です。
韓国刑事法務政策研究院の調査結果
韓国刑事法務政策研究院の調査結果によれば、「扶養義務を違反した親には相続権を与えるべきではない」という命題に、回答者の90.1%が同意したことが分かっています。相続権喪失制度に対する国民の共感はすでに非常に強く形成されているということです。
国会もこれまで法律改正の必要性に共感してきました。与野党の議員が繰り返し関連法案を発議し、本会議の直前段階まで進んだこともあります。それでも、毎回他の政治的議題と結びつき、会期終了とともに自然廃案となってきました。
なぜ毎回最終段階で頓挫するのでしょうか
私は弁護士として、また立法活動に関わる立場の人間として、このパターンが繰り返される理由を次のように整理しています。
- 与野党共通同意事案のパラドックス:ク・ハラ法は与野党のいずれも正面から反対しにくい法案です。だからこそ、他の争点法案を通過させるための交渉の道具として使われやすくなります。
- 政争の議題との結び付き:会期終盤の中心争点法案に巻き込まれ、交渉が決裂すれば一緒に廃案となる流れが繰り返されます。
- 選挙争点との距離:政治的に票を呼び込むための議題ではない、という点が、逆に政治家にとって積極的に通過させる動機を与えにくい構造を生みます。
今回の会期でも同じ流れが繰り返されました。他の政治的議題と結びつき、交渉の決裂とともに自然に廃案となる結果となりました。
ク・ハラ法が整えようとしている社会の隙間
この法律が通過すれば整えられる社会の隙間は次のように整理できます。
- 養育義務回避のコストの不在:現行制度では、養育義務を尽くさなかった実親も、子の死亡時には法定相続人として自動的に認められます。養育義務回避の経済的コストが事実上ない構造です。
- 養育者への補償の不在:実際に子を養育してきた他の家族や親族が、養育義務を履行した事実について評価を受けられません。
- 家族の意味についての社会的合意表明の不在:家族は法的身分だけで自動的に構成されるものではなく、養育と扶養の実体が共にあるべきという社会的合意が、立法に反映されていません。
ク・ハラ法は、この三つの隙間に対する社会的な答えです。
現行制度下での対応方法
ク・ハラ法が通過していない現在の時点では、養育義務を尽くさなかった実親の相続に対して、次のような対応を検討できます。
- 相続欠格事由の主張:民法は一定の相続欠格事由を定めていますが、養育義務不履行そのものは相続欠格事由として明示されていないため、この経路で争うのは通常困難です。
- 寄与分の請求:他の家族が実質的に子を養育してきたのであれば、その養育の寄与を寄与分として主張する余地があります。ただし、通常の親への扶養と区別される特別な寄与であることが立証される必要があります。
- 遺言の事前設計:子の生存時に、ご本人の意思で実親を相続から排除する形で遺言を作成しておく方法があります。ただし遺留分(韓国法上の留保分)が作動する場合、一部の請求は依然として可能です。
私は相談室でこの種の事案に出会うと、死亡前の事前設計が最も効果的だが、死亡後であれば上記三つの経路を組み合わせて対応されることをおすすめしています。
ク・ハラ法通過前の時点では、事前設計の価値はより大きくなります。ご自身の意思を明確に整えておくことが、養育の実体を認めてもらう最も直接的な道です。
よくいただくご質問
Q. 実親が養育を全くしていないのに法定相続人として登場する場合、止める方法はありますか? A. 現行制度では自動的に止めるための直接的根拠が乏しいです。ただし寄与分の主張、遺留分請求の限界の争い、事前遺言の設計などを組み合わせて対応できます。
Q. 実質的に養育を担った他の家族が受け得る補償は何ですか? A. 相続段階で寄与分の主張が可能です。ただし通常の扶養と区別される特別な寄与として評価され得る必要があります。死亡前であれば、子ご自身の意思による遺言で補償を設計するほうがより直接的です。
Q. ク・ハラ法は次期国会で通過する可能性がありますか? A. 社会的共感が強いため、発議自体は繰り返し行われると見られます。ただし政争議題と結び付く構造が整えられない限り、通過可能性は政治的合意の結に左右されざるを得ません。
「家族」の意味を問い直す法律
私は、ク・ハラ法が一人の名前で呼ばれていても、その中には社会全体の「家族」についての合意が共に込められていると考えます。この法律が毎回通過直前で頓挫する姿を見ながら、社会的合意の結と政治的手続の結がどこですれ違っているのかを再び考えさせられます。次期国会では、政争の道具ではなく、本来の場所で通過することを心から願います。
ご本人やご家族の相続関連事案について、短く今すぐチャットで相談するも可能です。
本稿は法務法人ジョンジェ(存在)の弁護士による上記YouTube解説をもとに作成された一般法律情報の記事です。
最終検討日:2026-05-30
免責:本稿は一般的な法律情報を提供することを目的としており、個別事件の具体的事実関係に対する法律相談ではありません。類似の事案でも結果は事実関係と証拠により異なり得るため、実際の紛争や相談が必要な方は必ず専門の弁護士による個別の助言をお受けください。



