盧素英1兆3,808億と李富真141億、財閥家の離婚二判決が分かれた地点
初版公開 2026-05-30 / 最終確認 2026-05-30 本稿は法務法人ジョンジェ ユン・ジサン弁護士による上記YouTube解説をもとに作成した一般法律情報です。
同じ財閥家の離婚なのに、一方は控訴審で財産分与1兆3,808億ウォン、他方は141億ウォンで確定しました。報道だけ見れば単純に資産規模の差に見えますが、二判決を分けた核心は別のところにあります。核心株式が特有財産と認められたか、慰謝料がどれほど認められたか、寄与度がどの幅で評価されたかによって結果が分かれます。本稿では盧素英・崔泰源事案と李富真・林佑宰事案の争点を弁護士の視点で整理します。
二つの事件の基本構造をまず明確に整理します
まず二つの事件の基本骨格を比較しておくのがよいでしょう。事実関係そのものが結果を左右する出発点であるためです。
- 盧素英・崔泰源事案:1988年結婚、約37年の婚姻期間。2018年に崔泰源会長が訴えを提起。一審は盧素英館長側に財産分与665億ウォンと慰謝料1億ウォンを認定。控訴審は財産分与1兆3,808億ウォンと慰謝料20億ウォンを認定。最高裁では慰謝料20億ウォンと離婚は確定し、財産分与部分は破棄差戻されてソウル高等裁判所で再審理中です。
- 李富真・林佑宰事案:1999年結婚、約21年の婚姻期間。2015年に李富真社長が訴えを提起。一審86億ウォン、二審141億ウォンの財産分与が認められ、最高裁の心理不続行棄却で確定。慰謝料請求は別途ありませんでした。
相談室で見ていると、事実関係を並べただけで結果が見える事件もあり、そうでない事件もあります。二つの財閥家事件は後者に近いです。同じく大きな資産同士の離婚ですが、作動した法理が異なっていたためです。
結果が分かれた第一の地点、核心株式が特有財産か否か
高額資産家の離婚で財産分与の勝敗を事実上決める地点は、核心株式が特有財産に分類されるか否かです。二つの事件はこの地点で正面から分かれました。
盧素英・崔泰源事案では、SK株式が一審では特有財産に分類されて分与対象から全部除外されました。しかし控訴審では分与対象に含まれ、盧素英館長に関連した裏金形成への寄与まで認められて財産分与額が1兆3,808億ウォンまで増えました。ただし最高裁では「裏金は不法原因に基づく寄与として認められない」という理由で破棄差戻となり、現在再び審理が行われています。
李富真・林佑宰事案では、サムスン関連株式が一審で特有財産と認められ分与対象から除外され、控訴審・最高裁でもその結論がそのまま維持されました。よって分与対象となった財産はサムスン株式を除いた100億ウォンに満たない資産であり、そのうち20%が林佑宰氏に分与として渡りました。
二つの事件を同じ基準で並べてみると
| 区分 | 盧素英・崔泰源事案 | 李富真・林佑宰事案 |
|---|---|---|
| 婚姻期間 | 約37年 | 約21年 |
| 訴え提起時点 | 2018年 | 2015年 |
| 核心株式の分与可否 | 一審除外、控訴審含む、最高裁破棄差戻後再審 | 全審級で特有財産として除外 |
| 控訴審財産分与 | 1兆3,808億ウォン | 141億ウォン |
| 慰謝料 | 20億ウォン(確定) | 請求なし |
| 分与比率 | 控訴審35% | 控訴審20%(サムスン株式除外後) |
| 決定的要因 | 核心株式の分与対象編入と裏金寄与 | 核心株式を特有財産として確保した管理構造 |
表を見れば明らかです。二つの事件の差は資産規模ではなく、核心株式が分与対象に入るか否か、そしてその上で寄与度がどこまで評価されるかの差です。
相談室で見ていると、高額資産離婚事件において依頼人の間で最もよく分かれる認識は「結局は比率の争いではないか」という点です。しかし比率争いの前に何が分与対象に入るかが決定的です。分与対象が縮めば35%も意味がありません。
慰謝料20億ウォンが例外的な数字である理由
盧素英・崔泰源事案の慰謝料20億ウォンは通常見られない数字です。これまで韓国の裁判所の家事慰謝料は人が亡くなった場合でも20億ウォンに至る例はほとんどありませんでした。その意味で本事件の控訴審判断は今後の慰謝料算定にかなりの影響を与えうる事案だと見ます。
私は慰謝料額は今後上昇する可能性が高いと見ます。韓国社会の資産規模自体が大きくなり、家事事件において慰謝料が単純に精神的損害賠償を超えて不貞行為など有責行為に対する社会的評価を反映する流れが強まっているためです。ただし一事件の事案がそのまま一般化されるわけではないため、本人の事件にこの金額を期待値として出発するのはお勧めしません。
結果が分かれた第二の地点、寄与の幅
寄与度算定は単に「比率がいくらか」の問題ではありません。どのような寄与を認めるかの幅がまず決まり、その上で比率が定まります。
盧素英館長側の寄与として評価された項目は幅が広かったです。内助、家事、子育てだけでなく、本人の実家側、すなわち盧泰愚元大統領一家の非公式な影響がSKという会社の買収に一助したという評価が含まれていました。それで控訴審で財産分与比率35%まで認められうるものでした。ただし最高裁は裏金による寄与は不法原因に基づくものとして認められないと判断しており、現在の再審理でこの部分が整理されています。
一方、李富真・林佑宰事案で林佑宰氏の寄与は家事・育児・内助の面で通常の男性の範囲を超える特別な寄与とは評価されませんでした。むしろ投資などで損失を発生させた事情があったため、財産形成・維持への寄与が狭く評価されました。
結果が分かれた第三の地点、核心株式がどのように管理されていたか
李富真事案でサムスン関連株式が全審級で特有財産と認められえた背景には、その株式が事実上林佑宰氏や李富真社長個人が自由に処分できる形態ではなく、グループ次元で経営権承継と関連して特殊に管理されてきた資産であるという事情がありました。
私は家事4部の陪席判事として本事件の一審裁判部にいた時期があります。合議の内容を具体的に申し上げることは適切ではありませんが、裁判部がその管理構造を精密に検討し、林佑宰氏の寄与として評価しがたい事情と林佑宰氏の財産上の損失発生の事情を併せて検討した末、その結論に至ったという点は申し上げられます。この判断が控訴審・最高裁でもそのまま維持されました。
このような事例が示すのは、同じ核心株式でもその管理構造、処分可能性、経営権承継との結合度によって特有財産性が異なって評価されうるという点です。
二つの事件が今後の財閥家離婚に与える示唆
私は李富真・林佑宰事案は事実関係の特殊性が大きい事件だと見ます。同じ論理をそのまま他の財閥家離婚に適用するのは容易ではありません。むしろ盧素英・崔泰源事案が今後の財閥家離婚事件でより頻繁に引用される可能性が高いです。最高裁でも本格的に審理が行われた事件であるためです。
ただし盧素英・崔泰源事案も破棄差戻後の再審理中であるため、控訴審で認められた財産分与比率35%は下がる可能性が大きいです。裏金寄与が外れればその分比率が減らざるをえないためです。それでも一審のようにSK株式全部を特有財産として分与対象から除外する結論には戻らないと見ます。最高裁でこの部分について控訴審判断に問題はないと整理しているためです。
よくあるご質問
Q. 会社の株式は無条件に特有財産で分与されませんか。 A. そうではありません。その株式が結婚前に保有していたものか、結婚中に会社が成長して価値が増えたか、配偶者の直接・間接の寄与が認められるか、グループ次元の経営権承継構造に組み込まれているかなどによって判断が分かれます。同じ会社の株式でも結論が異なりえます。
Q. 不貞行為慰謝料はどの程度受けられますか。 A. 通常の事案では数千万ウォンから1億ウォン台前後がよく認められます。盧素英・崔泰源事案の20億ウォンは例外的な数字で、一般的な慰謝料の期待値として一般化することは困難です。
Q. 裏金形成に寄与した事実があれば、それも財産分与で認められますか。 A. 盧素英・崔泰源事案最高裁判決の趣旨は不法原因に基づく寄与は認められないということです。裏金に関与した事実があってもその寄与を財産分与で評価してもらうのは難しいと整理されたとお考えください。
本人の事件にどう適用するか
本人が高額資産家の離婚事案に置かれているなら、まず二つを整理されることをお勧めします。第一に、核心資産が何で、その資産の形成時点と管理構造がどうなっているかを整理します。第二に、本人の寄与がどの範囲に及ぶかを項目別に整理します。家事・育児・内助の日常的寄与か、経営参加や資産形成の直接寄与か、実家側の外部的寄与まで含まれるかによって評価が異なります。
同じ大金の離婚でも事件ごとに結果が大きく異なる理由は、結局その事件の特殊性をどれだけ正確に解いて裁判部を説得するかにかかっています。弁護士として最初に見るのがその特殊性であり、依頼人が最初に整理しておかなければならないのもその特殊性です。
本人の事件の資産構造と寄与項目を整理してみたいなら 今すぐチャットで相談する も可能です。
ユン・ジサン弁護士 / 法務法人ジョンジェ 家事相続専門弁護人団 最終確認 2026-05-30
本稿は一般法律情報であり、個別事案に対する法律相談に代わるものではありません。事案により結果が異なりうるため、具体的紛争がおありなら別途相談をお勧めします。



