海外に財産がある親が亡くなったとき、相続人が最初にぶつかる壁
相談室でしばしば耳にする一文があります。「父がアメリカ、ブラジル、シンガポールに財産があったと聞いたのですが、どこから手をつければよいか分かりません。」ご存命のうちはご本人が直接管理されていたため、特に手続きなく流れていたものが、亡くなった瞬間から相続人は慣れない外国の手続きと費用と正面から向き合うことになります。本記事は、海外相続で最もよく発生する問題と、親御さんがお元気なうちに整理しておかれると通常、死後の負担が大きく減る項目を整理します。
国内預金の回収すら容易でないのに、海外となれば
相続人同士で合意ができていたとしても、国内預金の引き出し手続きすら単純ではありません。金融機関は通常、すべての相続人の同意と身分書類、家族関係証明書、基本証明書、死亡診断書、相続財産分割協議書などを厳格に求めます。
海外に資産がある場合は、これらすべての手続きがその国の法律と言語でもう一度繰り返されます。通常は次を追加で準備する必要があります。
- 韓国の書類をその国の言語に翻訳・公証
- アポスティーユまたは領事認証
- その国の相続証明手続き(国によってはプロベートなど)
- 現地での税務申告および納税
- 現地弁護士・会計士の選任
費用構造が資産価値に追いつく場合もあります
海外相続でよく発生する落とし穴は、回収費用が資産価値に近づいたり、それを超えたりする場合です。例えば被相続人がブラジルに2,000万〜3,000万ウォン相当の預金を遺されたと仮定しましょう。その預金を回収するための韓国・ブラジル両国の書類整備、翻訳・公証、現地弁護士費用、送金手数料、為替差などを合わせると、費用が資産にほぼ追いつく場合が出てきます。
相談室で見ていると、あると思っていた資産が事実上回収不能な資産に変わる瞬間が、通常最もつらい場面です。ご存命のうちなら数日で片付くことが、死後は数年の手続きに延びます。
| 資産の所在 | 通常の回収難易度 | よく発生する費用項目 |
|---|---|---|
| 国内の預金・不動産 | 比較的定型 | 翻訳不要、家族関係書類中心 |
| アメリカ | 州により異なる | プロベート手続、現地弁護士費用 |
| シンガポール・香港 | 英文書類+現地手続 | 法人形態により異なる |
| 東南アジア(マレーシア・インドネシア) | 不動産回収が特に困難 | 現地有資格者との協業が必須 |
| 南米・アフリカの一部国 | 事例自体が稀少 | 通常最も高い回収費用 |
二つの事前整理戦略
親御さんがお元気なうちに整理しておける道筋は通常二つに分かれます。
- 一つ目: 生前に海外資産を国内に環流させるか整理した上で、国内資産のみを残す方向
- 二つ目: その国の法律に従って信託(trust)など相続自動化構造を設計する方向
アメリカのように信託制度が発達した国では、living trustやrevocable trustのような構造を通じて、死亡と同時に資産が自動で受益者に移転するよう設計できます。この場合、通常、相続手続(プロベート)自体を回避でき、時間も費用も節約されます。
ただし信託設計はその国の弁護士・会計士と進める必要があり、韓国との税務・相続関係も併せて整理する必要があるため、両国の双方に通じた弁護士と協業する形が通常安全です。
お子様が最初に点検すべき五つ
ご両親が海外にも資産をお持ちであることをご存じであれば、次の五つを点検されることをお勧めします。
- 資産リスト(国別の資産種類・金額・口座番号・登記番号)
- 資産を管理する現地担当者(銀行PB、弁護士、会計士)の連絡先
- 資産保有形態(個人名義、法人名義、信託など)
- その国の相続税・贈与税構造と韓国税法の二重課税調整の可否
- 死亡時に誰へどの手続で通知されるか(死亡登録同期)
この五つが整理されていなければ、死後、相続人が資産を見つけ出すのに通常数年を要します。
弁護士としてよくお勧めする結合戦略
私は弁護士として、ご本人が海外相続事件を進める際、韓国ですべてを締めくくれる構造が最も安全だとお伝えしています。次の組み合わせが通常効果的です。
- 韓国での遺言公証+韓国の弁護士を遺言執行者に指定
- 海外資産保有国別に、その国の法律に沿った事前処分(信託・贈与など)
- 両国の税務申告義務を事前に点検し、死亡時点の申告期限を逃さないよう整理
この作業は親御さんがお元気なうちにしかできません。意識が弱まった時点では通常進行が難しくなります。
よく受けるご質問
Q. 父が海外に不動産を持っているのですが、ご存命のうちに整理すべきでしょうか? A. 資産価値、回収難易度、両国の税金構造を併せて検討する必要があります。単に「今整理しよう」が正解ではなく、「どのような形で残すか」が核心です。具体的な状況を持って今すぐチャットで相談するをお勧めします。
Q. 海外信託を設計すれば、韓国でも効力が認められますか? A. その国の信託自体は効力を持ちますが、韓国での相続税・贈与税の処理は別途検討する必要があります。韓国税法上、信託の課税時点は通常の相続と異なる場合があります。
Q. 死後に海外資産があると遅く知った場合、どうすればよいですか? A. 通常、手続きは長くなりますが不可能ではありません。その国の時効制度が適用される前に整理作業を開始されることが重要です。
結びに
海外相続は資産価値より手続きの複雑さがより大きな負担となる領域です。親御さんがお元気なうちに整理しておかれると、通常、死後の時間と費用が大きく減ります。ご家族の資産がどの国に分布しているか見当がつかなければ、点検から始めることをお勧めします。
法務法人ジョンジェ ユン・ジサン弁護士作成 / 最終確認 2026-05-30
本記事は一般的な法律情報の提供を目的として作成されたものであり、具体的な事件の結果を保証するものではありません。事件ごとに事実関係が異なるため、必ず弁護士との個別相談の上で進めてください。



