婚姻届は10分で済むのに、離婚はなぜこれほど複雑なのか。相談室で最もよく頂くご質問の一つです。本記事では、協議離婚と裁判離婚の手続き上の違い、裁判離婚が認められる6つの事由、そして自身に過失のある有責配偶者でも離婚を請求できるかに関する最近の流れまでをまとめます。崔泰源・盧素英事件が話題になって以来、特に多く頂くようになったご質問でもあります。
統計で見る離婚、現実に近い出来事になりました
2023年基準で韓国の婚姻件数は約19万4千件、離婚件数は約9万2千件と言われています。事実婚関係の解消が統計に反映されない点を考慮すると、通常二組に一組程度が離婚を経験する流れと見ることができます。
最近、離婚関連バラエティ番組が増えるにつれ、離婚に対する社会の視線も変わりました。「私たち離婚しました」「結婚と離婚の間」「離婚熟慮キャンプ 一度は離婚する決心」など多様な形態のコンテンツが作られ、離婚はもはや隠すべき事柄ではなく、能動的な意思決定の領域として認識される雰囲気が生まれています。
ただし統計と意識の変化とは別に、離婚手続きそのものは婚姻届よりはるかに複雑です。その理由を一度整理しておくと、事件を扱う視点が少し変わります。
協議離婚と裁判離婚、手続きの肌触りが異なります
離婚は大きく協議離婚と裁判離婚に分かれます。両手続きを表にまとめると次の通りです。
| 項目 | 協議離婚 | 裁判離婚 |
|---|---|---|
| 核心要件 | 夫婦双方の合意 | 民法第840条事由+裁判所判決 |
| 進行機関 | 家庭裁判所(熟慮期間後に意思確認) | 家庭裁判所裁判部 |
| 所要期間 | 通常1〜3か月(熟慮期間含む) | 一審6か月〜1年6か月+控訴審 |
| 慰謝料・財産分与 | 協議で定める(不成立時は別訴) | 裁判内で併せて争える |
| 養育・面接交渉 | 協議で定める | 裁判内で併せて争える |
協議離婚は夫婦が全争点に合意できれば比較的短期間で整理されます。しかし慰謝料、財産分与、養育権、面接交渉などいずれかでも合意が難しければ裁判離婚に進み、そこからは所要時間と費用負担が本格的に大きくなります。
裁判離婚が認められる6つの事由
民法第840条は裁判上の離婚事由を次の6つに限定しています。
- 1号:配偶者に不貞行為があったとき
- 2号:配偶者が悪意で他方を遺棄したとき
- 3号:配偶者またはその直系尊属から著しく不当な待遇を受けたとき
- 4号:自己の直系尊属が配偶者から著しく不当な待遇を受けたとき
- 5号:配偶者の生死が3年以上不明のとき
- 6号:その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき
実務で最も多く登場する事由は1号の不貞行為と6号の婚姻を継続し難い重大な事由です。6号は広く解釈され、長期別居、経済的無責任、賭博・依存、家庭内暴力など多様な事由が含まれます。事実関係と資料によりどの事由で構成するかが、慰謝料金額と財産分与交渉に大きく影響します。
有責配偶者は離婚を請求できるか
法律相談で最もよく頂くご質問の一つが「私に落ち度があるようなのですが、離婚を請求できますか」です。いわゆる有責配偶者の離婚請求の問題です。
大法院の長年の立場は次のように整理されます。
- 原則:婚姻破綻の主たる責任のある配偶者(有責配偶者)は離婚請求ができません。
- 例外:相手方配偶者にも婚姻継続の意思がないことが客観的に明白な場合、または子の福利に照らして離婚が不当と見られない場合などには、有責配偶者の離婚請求も受け入れられ得ます。
この例外の範囲は事件ごとに異なって評価されます。別居期間が長期(通常5年以上など)に及び、その間に回復可能性が事実上消滅した場合、相手方配偶者が明示的に離婚に合意した痕跡がある場合、子がすでに成長し養育問題が大きくない場合などが、例外認定に有利な事情として評価されます。
有責配偶者離婚請求の例外範囲は事件ごとに異なって評価されます。別居期間、相手方配偶者の意思、子の福利などが総合的に判断されます。
崔泰源・盧素英事件が示した流れ
崔泰源・盧素英離婚控訴審判決は、有責配偶者の離婚請求の境界線を改めて示した事件でもあります。本件の一審はSK株式など一部資産を固有財産と見て分与対象から除外しましたが、控訴審はその資産も分与対象に含め、1.3兆ウォン規模の財産分与と20億ウォンの慰謝料を認めました。
有責配偶者の離婚請求という視点から見ると、控訴審は夫婦間の回復可能性が事実上消滅した点、相手方配偶者も離婚自体に積極的に反対していない点、資産形成に寄与した部分が実質的に認定され得る点などを総合考慮して離婚請求を受け入れました。離婚自体は認めつつ、資産分割段階で責任の重さを慰謝料と分与比率に反映した構造と読み取れます。
ただし本件は大法院破棄差戻しにより再び控訴審段階に戻り、差戻審段階の結論は別途の変数により異なり得ます。社会的関心が大きかった事件ですので、後続の流れも併せて見守る必要があります。
お子様がいる離婚で追加で検討すべきこと
お子様がいる場合、離婚手続きは二つの軸に分かれます。
- 夫婦間の整理:慰謝料、財産分与、事実関係整理
- お子様に関する整理:親権者・養育者指定、養育費、面接交渉
お子様に関する整理で裁判所が最も重視する基準はお子様の福利です。夫婦間で誰の責任が大きいかの争いとは別に、お子様の日常養育環境を誰がより安定的に提供できるかが、親権・養育者指定の核心基準となります。
私はお子様がいる離婚事件を進める際、夫婦間の責任争いとお子様に関する整理を同じ重みで扱われないようお勧めします。責任争いが激しくなるほど、お子様に関する決定が合理的でない方向へ流れる危険が高まり、その結果はお子様が引き受けることになります。
よくお寄せいただくご質問
Q. 協議離婚が成立しなければ必ず裁判に進むべきですか。 A. そうではありません。協議が難しくても調停手続きで合意が成立する場合が多いです。裁判が始まっても事件途中に調停で結ばれる割合は意味あるほど高いです。最初から正面から争う構造のほかに、交渉の余地を併せて検討する方が効率的です。
Q. 別居だけ長くしていれば自動的に離婚が認められますか。 A. 自動ではありません。別居期間が長期で回復可能性が事実上ないことが認定されてこそ、6号事由や有責配偶者例外事由として評価され得ます。別居自体が離婚事由ではありませんが、他の事情と結合すれば強力な事由になります。
Q. 私が不貞行為をしましたが相手方が離婚を拒否しています。離婚は可能でしょうか。 A. 通常の原則によれば、有責配偶者の離婚請求は受け入れられません。ただし別居期間、相手方配偶者の実際の意思、子の状況など例外認定事由が満たされる場合に限り、受け入れられる可能性があります。事件別に可能性評価が大きく異なるため、別途のご相談が必要です。
まとめ
離婚訴訟が複雑な理由は、夫婦関係の事実関係が抽象的である一方、慰謝料・財産分与・子の養育など整理すべき争点は非常に具体的だからです。裁判離婚の事由は民法第840条の6つに限定され、有責配偶者の離婚請求は通常受け入れられませんが、別居期間や相手方の意思など例外事由が認められれば可能です。ご自身の事件がどの事由に該当し、有責性評価がどう分かれるかを事前に整理しておかれれば、その後の慰謝料と財産分与交渉の絵がはるかに鮮明になります。
作成:法務法人ジョンジェ ユン・ジサン弁護士 · レビュー:ノ・ジョンオン弁護士 · 最終レビュー 2026-05-30
本記事は一般的な法律情報提供のためのものであり、個別案件の結果を保証するものではありません。離婚事由評価と有責配偶者例外認定可能性は事実関係に大きく左右されるため、具体的な事件は弁護士と別途ご相談ください。



